「40代」「プータロー」「失業保険」もらってます。
蓄えた小金で好きなことやってます。この間に個人事業主としての足場を作っていきたいと思っています。もちろん仕事も探していますが・・
今日はですねー、警備員時代の新人S君の話をします。S君は30代で地方からの上京でした。妻と子供3人残してわが会社に入社しました。そんな彼S君の顛末です。皆さまも警備業界に入る時は参考にしてくださいね。
始めは積極的だった。早く皆の力になりたい・・・
施設警備員の仕事は細かな仕事が多く拘束時間も長いのでなかなか新人が来ません。新卒入社などは聞いたことが無いくらいの業界です。来ても50代からが多くなかなか30代は来てくれません。
確かに管理能力の無い現場で、皆の勤務シフトをみた新人は早くから見切りをつけて辞めていきます。早い人は1日2日で辞めていく人もいました。
そんななか、入社してきたのがS君は30代。少しチャラチャラしている感じはありましたが、タケシくん的にはやる気があるように見えたので、「彼が戦力になってくれれば多少はお休みが取れる」と思っていました。
ひとつ気がかりだったのはS君が異常に仕事に積極的であったこと。あまりに早く仕事を覚えるとどんどん勤務を入れられて苦しい思いをするのではないかという懸念だけでした。
Sくんは仕事に積極的だったこともあり、休憩中も気さくに話しかけてくる人でした。私は最初は話しかけられれば答えるという程度で正直言って「彼が戦力になるかどうか」それだけが関心事でした。
新人には研修期間があって約1カ月ありました。常識的には1カ月は長いだろうと思われますが、タケシくんのいた現場は敷地が広大で建物も多いです。
巡回や受付なども1つ1つはそんなに難しい業務ではないのですが、とにかく仕事量が多い現場でした。定時にある業務が50個ほどあり、少しは警備の仕事の効率化・単純化を図って業務をまとめてくれればいいのにと思いました。
いままで積み重なって引き受けてきた仕事が多くなりこのような状況になっています。現場のオーナーに言われるがままの状況なので仕方がありません。
実際に仕事をするのは一般隊員なのです。そういうことが積み重なって仕事の量が増え複雑化しているということに上の人間は無頓着なのです。定時の業務を改善しようとする様子など見られません。
そんな多量化・複雑化した仕事が一般隊員の首を絞めているということに彼らは気が付かないのです。ましてや「そんな仕事状況では新人が短期間に覚えられる筈がない」というのが私タケシくんの考えですがそんなことは全く意に返さないのが彼らなのです。
しかし、そんななかでもSくんはがんばって仕事を覚えていき研修期間も終え無事に戦力としてシフトに組み込まれました。
しかしだんだんと疲労の跡がみられ・・・遅刻・欠勤
しかしながら、仕事に慣れてきたかと思った3カ月目からちょくちょく遅刻・欠勤するようになりました。
彼S君は私につぶやき語りかけました。
Sくん つらいです。体力的に無理です。
私 隊長に言ってシフト減らしてもらえば。
Sくん 言えないです。無理です。
私 どうして。無理なら仕方ないでしょう。
Sくん いや、やりますと言ってしまった以上無理です。
そんな会話をした1週間後くらいだったか、Sくんは会社に来なくなりました。しかも最後はグタグタです。
嗚呼やっぱり。私の懸念が当たってしまいました。シフトが厳しくて体力的・精神的に疲れたのだろうと。慣れている隊員であっても疲れているのに、慣れない新人がやるのは難しい。
Sくんはちょくちょく休みだしたころから周りから「あの子はダメだ。」とか「若いのに根性が無い」などと言われ気が付くと彼の味方はいなくなっていました。
始めは様子を見て少しずつ始めるのがベター。嫌なら早めに見切りをつけろ
Sくんは警備業界というか世の中を知らなかったね。
最初にやるべきは仕事を見極めることと話し合える人(仲間)をつくること。
警備員にはいろいろな人がいるんです。Sくんが遅刻・欠勤してつまずいた時に誰か心を許してしゃべれる人がいればこうはならなかった。
彼Sくんが休むことによって、誰かが代りにやらなければならないのです。代わりに仕事した人は彼Sくんにいい感情を持たないでしょう。
前もって言われるならまだしも遅刻・欠勤ではどうしようもない。誰もSくんを救えない。
確かに現場のシフト異常です。世間一般から見ればおかしいです。しかしそれをわかっているはずなのに最初から暴走して失敗したのは彼Sくんなのです。
S君がいなくなり大幅なシフト変更を余技なくされ、我々の現場はまたため息が漏れることになるのでした。
S君に戦略的な考えがあったとは思えない。社会保険があり、いくら基本給が安く日勤月給だとしても残業代はキッチリ支払われるので普通に仕事をしていれば長期間仕事できたはず。
何もここの現場ではなくても他でもよかったのだ。むしろここの現場がおかしいのだから、入社時に初めから条件を出しておけばよかったのだ。
会社もやっとわかったのかここの現場に人を入れても育たない・・・と。
惜しい、Sくんにとっても痛手だがこれで休みが取れない現場もがっかりだ。
そして教えた分だけの労力ね。これが疲れる。普通の状態の現場なら新人に仕事を教えるのは当たり前だが、普通ではない勤務で働いているのだから、これは堪える。
「辞めんのなら早く辞めてくれ」ほとんどの隊員がそんな気分なのです。
そんなしょーもないお話でした。
おしまい。